秋桜のエッセイ

食物アレルギーのこと

2005-01-02

一昨年の秋、夫と旅行に出かけた。目的はワインと温泉を楽しむため。その頃は夫の肉嫌い以外は特に我が家の食生活は特にこれと言った問題はなかった。

途中立ち寄った蕎麦屋でそれは突然発症した。前日まで実習指導などがあって少し疲れていたせいか、蕎麦を食べたときに突然気持ちが悪くなり、トイレに行って吐いてしまった。その時は「疲れたのかな」位にしか思っていなかったが、旅館に着いて夕食の味噌汁を飲んだら昼食の時と同様の味を感じて原因が判明した。私は化学調味料に反応していたのだった。蕎麦屋で吐いたのはめんつゆに化学調味料が入っていたためだったらしい。それ以降化学調味料が入ったものを食べたり飲んだりすると舌が痺れるような感触に襲われ、ひどい時には吐いてしまうようになってしまった。以前から入っているかどうかは味で分かっていたのだが、だからと言って食べられないことはなかっただけにショックだった。インターネットで調べると「化学調味料アレルギー」というものがあり、私の症状と合致したため、疑いは確信に変わった。

このような症状になって以来、スーパーなどでの買い物や外食が困難になった。スーパーなどでの原材料欄では化学調味料は調味料(アミノ酸)という表示になっており、ほとんどの物質に入っている。代表格はグルタミン酸ナトリウムという物質であり、いわゆるうまみ調味料というもので、これが入っていないものは「化学調味料不使用」とわざわざ銘打って売られているくらいである。幸いこの症状が出る半年ほど前に化学調味料を取り扱っていない生協に加入していたので、現在はこの生協か自然食品店で食品は購入し、切らさないよう気をつけている。外食も自然食の店か手作りを売り物にしている店ならほとんど症状が出ないので、インターネットなどで調べてから出かけている。旅行に行くときは化学調味料を使っていないと宣伝しているところにするか、事前にできるだけ入れないで調理してもらうようお願いしている。しかしなかなか希望通りというわけには行かないのが現状である。

私が化学調味料アレルギーであることを伝えたら、食物アレルギーの患者さんのお母さん達と情報交換で盛り上がるようになった。どの家でもたまには家族で外食もしたいし、旅行もしたい。しかし食物アレルギーがあると気軽には行けない。普段も家族とも違う食事を用意しなくてはいけないし、給食にアレルギー食品が入っている日は弁当を用意しないといけない。当然食費は高くなり、家計に影響が出てしまう。他の家族からも食事について不満が出ることも多いが、とても対応できるだけの余裕がないと母親達は言う。

法律で5大アレルゲンは表示されるようになったが、それでもハムやベーコンなどの加工食品に微量入っていて知らずに食べてアレルギー反応が出ることがあるし、5大アレルゲン以外のものだと入っているかどうか文字通り「食べてみなければ分からない」ということはかなり多い。下手すると命に関わるだけに神経質にならざるを得ない。「わがままだ、って思われるのが一番つらいし哀しい」と言ったお母さんもいた。もっと食物アレルギーなどの問題は特別なものとしてではなく、身近なものとして考えて欲しいものである。

去年たまたま別な用事で立ち寄ったペンションが「うちは食物アレルギーに対応しています」という所で、もちろん化学調味料は不使用で食事を作っているとのことだった。今年の夏にでも泊まってみようと思っている。こういう店や宿がもっと増えて欲しい。

※追記
最近は体調がよくなってきたせいか、外食程度なら何とか食べられるようになりました。これだけでも行動範囲が広がったので、助かりました。

でも、多いと気持ち悪くなることがあるので自宅の食品や調味料には入れていないものを使っています。しかし、入っていない商品ってなかなかないものですね。

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