まず断っておきますが、アスペルガー症候群のような自閉症圏の障害(広汎性発達障害)というのは器質的なものですので、何か精神的なショックでそうなるとか親の育て方のせいでなるなどということは決してありません。それから子どものときは普通の子だったのに大きくなってからなるということもありません。
アスペルガー症候群かどうかは子どものときどうだったかということで知ることができます。高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群)研究ホームページの記述が具体的でわかりやすいでしょう。ここにはまた、WHOの国際疾患分類 「ICD-10」と米国精神医学会の診断マニュアル「DSM-IV」の診断基準も掲載されています。
次の診断基準も参考になるかと思います。(『自閉症とアスペルガー症候群』p.225 より)
アスペルガー症候群:ギルバーグとギルバーグの1989年の診断基準の詳細
1 社会的相互作用の重大な欠陥(次のうち少なくとも二つ)
a 友達と相互に関わる能力に欠ける
b 友達と相互に関わろうとする意欲に欠ける
c 社会的シグナルの理解に欠ける
d 社会的・感情的に適切を欠く行動
2 没入的で狭い興味・関心(次のうち少なくとも一つ)
a ほかの活動を受けつけない
b 固執を繰り返す
c 固定的で無目的な傾向
3 決まりや興味・関心の押しつけ(次のうち少なくとも一つ)
a 自分に対して、生活上で
b 他人に対して
4 言葉と言語表現の問題(次のうち少なくとも三つ)
a 発達の遅れ
b 表面的には誤りのない表出言語
c 形式的、もったいぶった言語表現
d 韻律の奇妙さ、独特な声の調子
e 理解の悪さ:表面的/暗示的意味の間違った解釈を含む
5 非言語コミュニケーションの問題(次のうち少なくとも一つ)
a 身ぶりの使用が少ない
b 身体言語(ボディ・ランゲージ)のぎこちなさ/無神経さ
c 表情が乏しい
d 表現が適切でない
e 視線が奇妙、よそよそしい
6 運動の不器用さ
神経発達の検査成績が低い